ちょっと本屋に行ってくる。

『ちょっと本屋に行ってくる。NEW EDITION』(藤田雅史著 issuance 2023年11月)をご紹介します。

著者は1980年生まれの作家。はじめて知る作家ですが、このタイトルが気になり、そしてほのぼのとしたイラストが気に入って、手に取りました。
筆者は本が好き。本屋が好き。本と本屋にまつわるエッセイが30篇、収載されています。誰の日常にも起こりそうな、意識せずに通り過ぎてしまうような話題をうまく掬い上げています。

「本」というテーマで、こんなにもいろいろエッセイが書けるのだという、楽しい発見がありました。本をどこで読むか(筆者は風呂場が最高と言う)、図書券の思い出、眠るために読む本、本屋に行くと起こる生理現象、旅に持っていく本……。どれも、自分の周りにありそうなネタで、それをさらりと、ちょっとコミカルに書いています。

この本が引き出してくれたのでしょう、読んでいるうちに、自分自身が本について感じていることや思い出がいくつも心に浮かんできました。
たとえば、増えすぎた本の整理のむずかしさ、 読んだ本の内容をけっこう忘れてしまうこと(これは筆者もそうだと書いていて、安心しました)、子どもが幼い頃に読み聞かせた絵本のこと、そのときの幼子の目の輝き、 私が買いたくなる本が必ず見つかる本屋の存在(本屋によって品揃えがけっこう違うので)、 などなど。私も「本」をテーマにしたエッセイをいくつも書けそうです。
そして、私も本屋さんが好きなんだなと再認識しました。

本書のエッセイの初出は「BOOKSELLERS CLOTHING issue」Webと書かれていたので、このサイトを訪ねてみました。連載は続いていて、83番目の「本」にまつわるエッセイが載っていました。本に関するネタが80以上もあるのですね。驚くとともに、なんだか楽しくなりました。
私もとりあえず1篇書いてみよう!