エッセイとSNS

大阪・関西万博が今年2025年10月に終了しました。
開幕前は、万博に対して否定的なニュースが多かったのを覚えています。整備コストが予定より相当増額になる、工事が遅れている海外パビリオンがある、メタンガスが発生したなどと報じられました。開幕するとだんだんと入場者数を伸ばし、予約が取れないとか、待ち時間や混雑ぶりなど、盛況のようすが伝わってきました。
終了の頃の報道によれば、「SNSが盛り上がりに寄与した」そうです。入館の予約方法、自分の行ったパビリオンの紹介、効率的な回り方などの、写真や動画付きの体験談の情報が拡散され、多くの人に「行きたい」と思わせ、来場者数の増加に貢献したそうです。

このニュースを聞いて、私にとってはエッセイがSNSの役割を果たしていたと感じました。
万博に関する作品を、エッセイ教室で8篇読み、多くの情報を得ました。同じ題材についてのエッセイをこれほど目にするのは、そうあることではありません。万博はみんなの注目のイベントだったようです。

エッセイから得た情報をランダムに挙げてみます。
・開幕早々に行った人は、始まる前から万博に興味があり、前もって予約もしっかり行い、その頃は混雑もそれほどではなかった。
・夏休みは、どのパビリオンも混んでいた。行ってみたいパビリオンが3時間待ちと聞いて諦め、すぐ入れるパビリオンに行ったところ、それはそれでおもしろく、満足できた。
・あまり聞いたことのない国についても知ることができ、これこそが万博の醍醐味だと思った。
・夏休みの混雑を避け、9月の平日に行っても、予約がまったく取れずに何時間も並んだ。それとは逆に、予約をうまく取れた人もいる。
・同じパビリオンを見ても、人によってっけっこう受け止め方が違う。
・どの人も満足していたのは、大屋根リング。

エッセイには写真や動画こそありませんが、場内をどう歩いたか、どこのパビリオンで何を見たか、どう感じたか、どのくらい待ったか、何がおもしろかったか、などの細かい情報が詳しく書かれています。書き手の万博旅行に一緒に付いて回っているような気分になり、実際に行ったらもっとおもしろいだろうなと思わせてくれるエッセイばかりでした。これらのエッセイの情報をまとめて携えれば、相当効率よく、そして楽しく回れそうです。
SNSを見なくても、これらのエッセイで十分な情報を得ることができました。

ただ一つ、エッセイの残念なところは、情報が瞬時には届かないことです。実際に万博に出かけた人が、帰ってきてからエッセイを書き、次の教室用に提出し、それを私は読ませてもらうわけです。最低でも1、2ヵ月のタイムラグが生じます。
そんなにみんなが楽しい時間を過ごす場所なら、私も行ってみようかなと思い始め、気持ちが盛り上がり、よし行こう!となった頃には、ちょうど閉幕を迎える時期になってしまいました。
エッセイとSNSとの一番の違いは、伝達のスピードですね。