ペンネームで書く際の悩み


あるエッセイに、筆者が手術を受けたときのことが書かれていました。
手術が無事に終わり、目を覚ましかけた筆者に、看護師さんが
「○○さん、手術が終わりましたよ」
と声をかけます。

このエッセイはペンネームで書かれているのですが、
筆者は、手術のときに自分の名前を呼ばれて、はっと現実に戻ったときの安堵感やそれまでの緊張感などを書きたいので、この○○には実名を入れたいと思いました。
そこで、筆者は、
文中の「○○さん、手術が終わりましたよ」のあとに、(私の本名は○○という)と、カッコ書きを付け足しました。

さて、この場合の本名とペンネームの処理はどうしたらいいのでしょうか。
「私の本名は○○という」という説明は、なんとなく作品の流れを止めてしまうように感じました。また、ペンネームで書くことを選択したのだから、それを全うしたほうが自然ではないか、とも思います。
しかし、筆者本人の、実名を入れたいという気持ちも、もちろん理解できるので、今回の書き方を否定したくはありません。
ほかに、どのような解決法があるか考えてみました。
・この作品だけは、ペンネームをあきらめ、筆者名を本名で書く。
・看護師さんの声かけに、「○○さん」を入れないで、ただ「手術が終わりましたよ」というセリフにする。
このくらいしか思いつきません。
ペンネームによっては、「○○さん」のところにペンネームを入れると、かえって不自然な場合もあるでしょう。

最終的には、筆者本人がどうするかを決めるのですが、ペンネームには、このような悩ましいことが起こりうることを、お伝えしておきます。