令和6年度 国語に関する世論調査
文化庁が毎年行う「国語に関する世論調査」は、結果がニュースでも報道されるので、ご存じの方も多いことでしょう。その調査には、言葉の本来の意味がどう変化しているか、新しい言葉が各世代に受け入れられているかなど、興味深い内容が含まれています。このエッセイ工房でも、2020年9月に、令和元年の調査を取り上げたことがあります。
先日、2025年9月末に発表されたのは、令和6年度の調査をまとめたものでした。その中で私の興味を引いたのは、次の5つの言葉についての調査でした。
「家電」「映(ば)える」「課金する」「ポチる」「エモい」
これらの言葉は、「情報機器に関わる言葉や、SNSを中心に使われるようになった言葉で、 新しい意味や使い方が辞書に記載されてきたもの」と説明があり、それぞれ、以下のような言い方が示されていました。
・「自宅にある固定電話」といった意味で「家電(いえでん)」と言う
・「写真に写すときなどにきれいでおしゃれに見える」といった意味で「映(ば)える」と言う
・「インターネットの有料サービスを利用する」といった意味で「課金する」と言う
・「インターネットで商品などを買う」といった意味で「ポチる」と言う
・「心が揺さぶられる感じがする」といった意味で「エモい」と言う
調査では、この言い方について
・使うことがありますか
・ほかの人が使うのが気になりますか?
と、2つの質問をしています。
詳しくは文化庁のサイトを見ていただくとして、年齢が高いほど「使う」「気にならない」を選択した人の割合が低いという結果でした。特に「エモい」の低さが目立ちました。
私としては、もう1つ質問を加えたい。
「エッセイを書くときに使いますか?」
書こうとするエッセイが口語的な感じの強い文章か否かで、使う用語は変わるので、答えを出すのには迷いますが、私なりの回答を考えてみました。
・「家電」は使います。現在は、「携帯」と区別するために必要な言葉になっていると感じます。そういえば、携帯電話が出だした頃のエッセイ合評では、「『携帯』と略すのではなく『携帯電話』ときちんと書くべきではないでしょうか」という意見がありました。現在はその「携帯」よりも「スマホ」が主流になりつつあります。これまた、「略さずに『スマートフォン』と書きましょう」という意見が出るのでしょうか。エッセイではもう「スマホ」と書いていいように感じますが、どうでしょうか。
・「映える」と「ポチる」は会話では使いますが、エッセイに書くとなると、私にとってはまだ少し遠くにある言葉です。書くとしたらカギカッコ付きで、あえてこの言葉を使ってみましたという気持ちを入れて使うと思います。
・「課金する」は、使い方は違うけれど、もともと存在する言葉なので、使えそうなイメージがあります。私のエッセイに、この言葉が登場するかどうかは別として。
・「エモい」だけは、言葉の意味や説明を何度聞いても、それらしき自分の感情と「エモい」という表現とを結びつけることができずにいます。この言葉がもっと広い世代で使われ、自分に馴染みのある表現になり、自分が会話でも使うようになるまで、エッセイに登場することはなさそうです。
人それぞれに意見が違うと思います。どういう回答になりそうですか?