テーマ「遊ぶ」で書く

先月のエッセイ教室でのテーマは「遊ぶ」でした。
エッセイ教室では、自由に書いていいのですが、書くとっかかりとしてテーマを希望する方や、テーマをどう料理するかもまた楽しいという人もいて、3回のうち2回はテーマを出しています。

さて、「遊ぶ」というテーマについては、むずかしくて、何をどう書こうか悩んだ、という声が多く聞かれました。今まで簡単に書けたというテーマは聞いたことがありませんが。
何を書くかなかなか思いつかないとき、とりあえずテーマを辞書で引いてみる、という人は多いようです。辞書で言葉の意味を確認し、捉え方や見方を変えてみることによって、テーマと結びつく題材を思いつくこともあるでしょう。
また、必ず対義語をネットで検索するという人もいました。これまた、見方を変えてみることにつながるのでしょう。

とはいえ、ほとんどの作品が、「好きなことをして時間を過ごす」という意味で「遊ぶ」を捉えていました。
その他の意味で書かれたのは、次の3作品でした。
・「賭け事」の意味で:夫に競馬場やパチンコに連れていってもらい、楽しさを知った
・「ゆとり」の意味で:悩みながらエッセイを書くのも、遊びと思えば、心のゆとりも生まれてくる
・対義語から:ネット検索した辞書には「働く」とあったが、それは違う。若い頃読んだ本『ホモ・ルーデンス』(遊ぶ人)を思い出した

「好きなことをして時間を過ごす」と捉えた作品も、「その遊びが自分に何をもたらしたか」までが書かれていて、そこに深みや広がり、そして読みごたえを感じました。
・ゲームで遊ぶ楽しさ→その楽しい時間が、心身が参っていた自分を支えてくれた
・小さい女の子と遊んであげる計画をいろいろ練った→楽しくて満足している自分を見て、実際はその子に遊んでもらっていたのだと感じた
・鳥が川べりで遊ぶ姿→散歩しながらそれらを眺めていると、自分の心が満たされる
・友人と遊びに行ってたくさん歩いた→楽しむためには足腰が重要と、今後を心配する
・小2のとき、父親が川釣りに連れていってくれた→自分ひとりで遊びに行けるようになって、それは終わった。当時の父親の気持ちを思う
・大人になった子どもたちが母の日に遊園地に誘ってくれた→子どもたちが小さい頃、同じ場所に連れてきたことを思い出す
・ゲームで遊ぶのが大好き→最近はそれほどでもない。この変化はなにか。年齢のせいか

「好きなことをして過ごした」という意味でありながら、遊ぶ対象や気持ちにひとひねりさせた作品もありました。
・「言葉と」遊ぶ:辞書を見る楽しさ
・「遊び半分」:以前、熱心に取り組んでいた趣味に戻りたいが、決心が必要。遊び半分では戻れない

難しいテーマだったかもしれませんが、どの作品も、テーマをうまく自分に引き寄せて仕上げていました!