自粛期間中にエッセイを書きましたか?

緊急事態宣言が 2ヵ月間に及び、カルチャースクールも休講となりました。3月から休講となった教室もあり、エッセイを合評する場がしばらく閉ざされてしまいました。その間、エッセイを書きましたか?

エッセイの執筆は個人的な作業ですから、ソーシャル・ディスタンスも自粛も関係なく、書くことは可能です。それでも、いろいろ聞いてみると、「書けなかった」と答える人が多い。理由はさまざまです。
・家族が家にいて、食事を作るだけでも忙しく、時間的に余裕がなかった
・時間はあったが、なんだかその気になれなかった
・やはり締め切りがないとなかなか書けない

もちろん、たくさん書いたという人もいました。自主的にZoomで合評をしたというグループもありましたし、新聞にミニエッセイが掲載された仲間も3人います。けれども、全体から見ると、「書いた」は少数派のようでした。
かくいう私も、このエッセイ工房を月に3回は更新するという、自分に対する締め切りがなければ、ずるずると時間だけが過ぎたことでしょう。

たとえ書けなかったとしても、エッセイを書く習慣のある人はこの2ヵ月間の自粛生活で、「あ、これエッセイに書けそう!」と思う瞬間に何度も遭遇したのではないでしょうか。エッセイを書く人は、無意識かつ常にネタを察知するアンテナを張っている、と私は思っています。

ただ、そのアンテナに引っ掛かっても、小さなネタをエッセイという形にまで昇華させるには、多くの時間を要します。構成を考え、どう発展させるか、どこを山にするかなどを決め、書き出したとしても、すぐに完成するわけではありません。今回は精神的な面も書けない理由にあげられそうです。新型コロナウイルスの感染拡大の情報や対策が気になって、気持ちをエッセイに向けるのが難しい時期がありました。
ましてや、毎月のエッセイ教室に作品を提出して合評を受ける、というスタイルが習慣となっていると、教室がなければ書けないのも当然です。読み手がいないと、書いてもつまらないものです。
ですから、この期間中にエッセイが書けなくて当然。私はそのくらいの気持ちでいます。

6月からは多くのカルチャースクールが再開し、エッセイ教室は感染対策をとりながら順次始まっています。2ヵ月の間にアンテナに引っ掛かったネタは、きっと頭の中で熟成されているはず。エッセイについては日常を取り戻して、書き出してみませんか?