お買い物ではありません

 わが家がふるさと納税を利用するようになって4年がたつ。
 制度が始まった頃は、縁のない地に寄付して返礼品をもらうことに違和感があったが、情報番組では、全国の名産品が手に入るお得な制度と、折に触れて特集を組み宣伝する。
 どんなものかと、ふるさと納税のサイトを覗いてみると、オンラインショップのようで、食料品を中心に雑貨や旅行関連までいろいろ揃っている。夫と相談して、寄付金が税金から控除されるのだから、試しにやってみようかとなった。毎年、夫の生まれ故郷に寄付してから、ほかの地の返礼品を選ぶ。
 はじめて利用したのが12月だったので、年末年始に家族が集まった時のためにと、エビとホタテの冷凍を頼んだ。皆に好評で、以来、年末になるとその2つと、年によって、カニ、塩鮭、魚の干物などをプラスした。選んでいるときは、寄付という概念は頭から消え去り、お買い物気分で楽しくなる。

 昨年末はサイトのキーワード欄に「数の子」と入れてみた。味付・肉厚・訳アリ・珍味セットなど、3000件を超える返礼品がヒットする。どれも冷凍だ。年明けに届いたら意味がないので、「年内お届け」の条件で絞り込む。口コミを参考に、「北海道産数の子」と「数の子屋のこだわり松前漬け」を選んだ。
 松前漬けはすぐに送られてきたが、数の子がなかなか届かない。サイトでお届け予定を見ると、いつの間にか「年明け」となっている。正月用なのに! 買い物なら文句を言いたいところだが、これは寄付なのだ。
 わが家ではふだんは数の子を食べないが、やはり正月には欲しい。かといって、新たに買う気にはなれない。元旦の膳に載ったのは、少々ぬるぬるした数の子。松前漬けから取り出した。あきれる家族に言い訳をしながら。
 数の子は1月10日に届いた。