エッセイとは、辞書の力を借りて説明するなら、
「随筆。自由な形式で書かれた、試作性をもつ散文」(広辞苑第七版より)
「文学の一ジャンル。自由な形式で書かれ、見聞、経験、感想などを気のむくままに書き記した文章。随筆」(日本国語大辞典第二版より)
となります。
つまり、「気のむくままに、形式にとらわれず、自由に書いた文章」です。
となると、「書き方」を論ずる必要は無用、自由に書けばいいのでしょうか?
ただ書くだけならそれでかまいませんが、自分のための日記ではなく、誰かに読んでもらうことを目的とした文章であるなら、読者の存在を意識する必要があります。

他人のエッセイを読んだ時、どういう点が気になるか
エッセイ教室では、作品についてさまざまな意見や感想を互いに述べ合います。その意見や感想をおおまかに分類すると、〈よくわからない〉と〈この作品で何を伝えたいのか〉の2つに分けられます。
〈よくわからない〉
・思い出と現在のことを書いているが、時間が行ったり来たりしていて、いつのことを話しているのか、よくわからない箇所がある。
・専門的な内容が多くて、意味がよくわからない。
・登場する人物が多すぎて、混乱する。
・登場する人物がどういう人なのか、イメージしにくい。
〈この作品で何を伝えたいのか〉
・一般的なことばかり書いてあって、この作者がどうしてこれを書きたかったのか、作者の思いが伝わってこない。
・読み終わって、「それでどうしたの?」という感想しかない。共感や新しい発見など、何も感じられない。
・旅行のことが書かれているが、筆者がどう感じたか、筆者の目にはどう映ったのかが書かれていない。これではガイドブックと同じ。

これらの意見や感想から、エッセイをどう書けばいいのかが見えてきます。
すなわち、エッセイは
1)一読しただけで伝わる(すっとわかる)作品であること
2)書き手の「伝えたい思い」が、その作品から感じられること
この2つが大切といえます。