冷凍ストック

食事をつくる際、毎回、一から作るのは、時間も手間もかかります。一品は惣菜を買ってきたり、常備菜を用意しておいたりと、工夫する方も多いでしょう。
余裕のあるときに、肉や野菜に下味をつけて途中まで調理し、冷凍庫にストックしておくと、手間をあまりかけずに一品に変身させることができます。
今回、エッセイを書くときに、この冷凍ストックの便利さと似たことを感じました。

2023年の正月が明けて早々、エッセイ合評の締め切りがあました。何を書こう?と焦っていたところ、昨年10月に書きかけていたエッセイがあることを思い出しました。
映画を見に行き、その感想を書いていたのです。しかし、そのときは、作品として完成させる時間がなく、また披露する場がなかったこともあって、とりあえず、映画のあらすじと、おもしろく感じたことや感心したポイントなどを、ただ書き連ねただけになっていました。

そのファイルを開けてみました。食事作りと同様、途中まで調理されているので、一から書き始めることはありません。
映画の基本情報やあらすじは、すでにできあがっています。
感想も綴られています。しかし、見終わった直後のメモ的な感想なので、あれもこれも書かれていて、エッセイとして仕上げるには焦点が絞り切れていません。
映画の何を伝えたいのか。方向性を定め、何を残して何を削るかの取捨選択を行い、残したものにさらに付け加えることはないか考えて、書き直しました。

書き上げるまでの時間はだいぶ短縮されました。
通常は、次の締め切りを目指して、何を書こうか、どう書こうかと考えるところまで、つまり書き始める前までも、けっこうな時間がかかります。
それに比べて、これを書きたいと感じたときに、とりあえずメモ的な意味合いでもいいので書き残しておけば、ずいぶん時間の短縮になります。
いい素材が手に入ったときには、冷凍ストックを作っておこうと思いました。