新しいエッセイ教室にて

2021年10月に新しいエッセイ教室が開講し、講師として携わっています。定員は9名。互いのエッセイを読み合い、感想や意見を述べ合うので(合評といいます)、あまり多い人数だと時間内に収まりませんし、今は新型コロナウイルスの心配もあるので、抑えた定員となっています。

はじめての教室でも、毎回文章を書いてもらい、みなで合評します。エッセイを書いたことがない方に書き方のポイントをお伝えすることはありますが、ほとんどが読みやすく、またわかりやすい作品です。 指名せずとも、自発的に意見や感想が出ます 。
「この表現、とてもいいですね」
「この部分、大好きです」
「先生はそうおっしゃいますが、私はこう思います」
などなど、書きたい思いを抱えて参加しているだけあって、意見や感想もうなずけるものばかりです。

いいグループになりそうと、私はうれしく思いました。自分が書いた文章を読んでくれる仲間、意見してくれる仲間というのは、趣味で書く場合、とても大切です。もちろん、講師の存在も必要ですが、仲間の存在がエッセイを書く楽しさをさらにアップさせてくれます。

この新しい教室が3回目を終えたころ、発言する人がいつも同じであることに気づきました。発言しない人は、同じような意見だから、取るに足らない感想だからなどと、遠慮しているのではないでしょうか。試しに、全員に発言してもらうことにしました。ひと言だけでも、意見がなければ「ない」でもいいことにして、順番に聞いてみました。すると、やはり、みな言うべきことは持っているのです。

発言する人が多ければ、筆者はいろいろな意見を聞くことができます。いろいろな読み方があると知ることができます。
そして、読み手にとっても、他人の作品を読んでどう感じたかを頭の中で組み立てて発言することは、自分がエッセイを書くときにも大いに役立つはずです。

全員に発言してもらうことのデメリットは一つだけあります。それは時間がかかることです。エッセイを読む楽しさは、そのエッセイから思い出された自分の思い出を語り合うところにもあるのですが、そこまで発言してもらうと、とても時間が足りなくなってしまいます。講座の時間は2時間と決まっています。
このコロナが流行する前は、では、この後お茶の席でそういう話をしましょうと言えたのですが、今はそれが叶いません。自分自身の思い出は超短縮形で語ってもらうことになります。

けれども、全員に発言してもらうことのメリットのほうが大きそうです。しばらくは、この方法を続けていくつもりです。