エッセイを本にまとめる(3)

~本に載せるエッセイを選び出し、修正する~

エッセイを本にまとめるにあたり、まず、これまでに書いてきたエッセイを内容によって分類しました(「エッセイを本にまとめる(1)をご参照ください)。

内容をさらに精査して、本では以下の6つの章を立てることにしました。
1)「わたし」について
2)家族について  
3)両親について
4)転勤したアメリカでのくらし
5)旅行
6)エッセイとの関わり

章のタイトルは追い追い考えるとして、次の作業は、それぞれの章に入れるエッセイを数編ずつ選び出すことです。古い作品新しい作品をバランスよく取り混ぜてピックアップしました。
作品の中には、これは絶対に載せたいという思い入れの強いものや、載せたくてもどの章にもあてはまらず諦めた作品もあります。「旅行」の話は最新の作品がなかったので、新たに一つ書き上げました。

公平に
たくさんある中から作品を選びに出すときに留意したのが「公平に」ということです。2人いる息子のどちらも同じ程度に登場するように、自分の親を書いたら夫の親も、姉とともに妹も。何冊も本を出すならともかく、一生に一度の本になるとしたら、家族は公平に登場していてほしい。自分が出ていないとむくれる人はいないでしょうが(むしろ、ほっとしているでしょう)、私の気持ちとしては「出番は公平に」。この感覚は、人によって違うかもしれませんね。

削除・変換・加筆
エッセイは一編で話が完結するように書きます。たとえば、転勤で暮らしたアメリカのことを書く場合、毎回必ず「転勤でアメリカに暮らした」という一文を書き入れるのが原則です。ところが、同じ本の中に、何度もそれが書かれていたらうるさいですね。その一文は、必要な箇所だけそのままにし、残りは削除しました。
ある作品には息子が1人しか登場しなかったので、「息子」とだけ書かれていました。他のエッセイには、「長男」と「次男」が登場するので、「息子」だけではどちらかはっきりしません。「息子」を「長男」(もしくは「次男」)に変換しました。
今回は、25年の間に書いたものから作品を拾い出したので、ずいぶん昔の話が入っています。読み手が「その後どうなったのかな?」と気になる場合もあるでしょう。先ほども書いたように、エッセイは一編で完結するものですが、今回は作品によっては「後日談」を欄外に加筆しました。

当事者が読むかもしれない
エッセイ教室で見せるだけだったエッセイですが、本になれば、もっと広く、多くの方に読まれる可能性が出てきます。もしかすると、エッセイに登場する当事者の目に触れるかもしれません。となると、その当事者が気分を害するおそれのある表現は避けたい。表現を変えることによって、文章がオブラートに包まれ、おもしろさがトーンダウンするかというと、そうではありませんでした。言葉の選び方によって、自分の気持ちに嘘をつかず、かつ当事者の心も傷つけることのない文章に変わりました。

エッセイを書くときには、誰に読んでもらっても大丈夫であるように書いてきたつもりです。しかし、本にするということは、読者の存在が具体的に、そして現実的になるということだと実感しながら、本に載せる文章を読み直し、修正しています。