語句をスマホで検索するときには

エッセイ教室でのことです。ある作品に、
「溝内あたりが痛み出し‥‥‥」
という文があり、書き手は「みぞうち」と読みました。
「『溝内』と書かれているのは「みぞおち」のことですか」
と、書き手に質問すると、
「『みぞうち』ではないのですか? スマホで確認したのですが
という答えが返ってきました。

別の教室でのことです。ある作品に、
「畑違いな仕事に就くことになった」
とあり、書き手は「畑違い」を「はたちがい」と読みました。
「『はたけちがい』と読むのが正しいと思いますよ」
と、書き手に言うと、
「『はたちがい』ではないのですか? スマホで確認したのですが
という答えが返ってきました。

2人とも、きちんとスマホで確認したのに、なぜ誤りに気づけなかったのでしょうか。
それは、スマホをお使いの方ならご存じと思いますが、間違った語句を入力しても、 賢いスマホが 自動的に最もよく使われる単語に修正して検索してくれるからなのです。
「はたちがい」と入力しても、「畑違い」の意味が出てきます。
「みぞうち」と入れたときに、「もしかして みぞおち?」と聞いてくることもありますが、スマホが勝手に修正してしまうと、検索した側は、「みぞうち」でも検索結果が出てきたから、これで合っていたんだと思い込み、そのまま作品に使ってしまいます。検索結果をよく見れば、正しい読み方が書いてあるのですが。

紙の辞書や電子辞書なら、「みぞうち」と引いても該当する語句はなく、その少し先に「みぞおち」を見つけて、正しい言葉を知ることができます。
だからと言って、辞書を使わなければならない、とは思いません。
スマホのおかげで、簡単に検索できるようになったのですから、便利な機器を利用しない手はありません。こういうケースがあることを頭の片隅にとどめて、検索結果をしっかり確認すればいいですね。同様のことが2回立て続けに起きたので、気になりました。