短歌とエッセイの共通点

日曜の朝、何気なくテレビを付けると、Eテレで「NHK短歌」を放映していました。番組は後半にさしかかっていて、出演者の横田真子さんが詠んだ歌を披露するところでした。テーマは「たからもの」です。

  棚の上あの日の友が箱の中開けば君が元気をくれる

詠み手の横田さんの解説によると、「友達からもらった手紙を入れている箱があって、たまに開けて読むと、勇気や元気が出てくるので、それはたからものだなと思って」詠んだそうです。
それに対して、選者である歌人横山未来子さんは
「(箱の中にあるのは)最初はお写真かなと思ってしまったけど、手紙なんですね。手紙だとわかるようにするといいですね」
と言って、次のように添削しました。

  棚の上の手紙の箱を開くたびあの日の君が元気をくれる

添削について
・「手紙」であることをはっきりさせた
・「友」と「君」が重複していたので、整理した
・「棚の上」という言葉から、大事に取っておいたということが伝わるので、その言葉は残した
と説明していました。
そして、気をつけるべきポイントを2つ挙げました。
・気持ちを詠おうとすると漠然としてしまうことがあるので、何か具体的な言葉を入れてみる。この歌の場合は、「手紙」という言葉を入れてみるといい
・歌ができたら、客観的な立場から読んでみる。自分では、自分の気持ちが分かっているので、読み手の立場になって読み返し、推敲するといい

何気なく目にした番組に見入ってしまったのは、歌人の横山さんが話していたことが、そのままエッセイに通じることだったからです。具体的に書く、書き上げたら第三者の気持ちで読んでみるというのは、エッセイの書き方でも何度も耳にすることです。
31文字の短歌も、その何十倍の字数を書いていいエッセイも、相手に自分の思いを伝えるという点で気をつけるべきポイントは同じなのですね。