気になる言葉(7)手袋の数え方

手袋についてのエッセイを書いていたときのことです。
「引き出しには2組の手袋が並んでいる」
と書いていて、ふと気になりました。何気なく「2組」と書きましたが、手袋は「組」と数えてよかったのだろうか?
電子辞書に『数え方の辞典』(小学館2004年)が入っているのを思い出し、調べてみました。辞典には次のように載っていました。

手袋は左右2枚で「1」「1(いっつい)」と数えます。軍手のように左右が決まっていない場合は「」でも数えます。手袋を数えるのに「(そく)」を用いることもあります。

知らないことが多くて驚きました。「双」という数え方をはじめて知りました。「足」を使うこともあるとは、びっくりです。「1足の手袋」とエッセイに書いたら、正しい使い方であっても、読み手を悩ませてしまいそうです。
そして、私がエッセイに書いた「2組」という言い方は、正しくないことがわかりました。右手と左手が違う手袋の話ですから。
となると、「対」を使うのが妥当でしょうか。あまりそのような言い方は聞かないけれど、「組」は正しくないと知ってしまったので、もう使えません。

私はエッセイを「引き出しには2対の手袋が並んでいる」と書き直して、合評に臨みました。
すると、「この『対』という言い方が気になります。手袋を2対と言うのですか?」と質問が出ました。同様の感想を持つ人がほかにもいました。やはり、手袋は2組と書くほうがしっくりくるのです。私もしっくりきます。

いくら正しい言い方であっても、馴染みのない表現を使うときには要注意。大きな間違いでなければ、慣れ親しんだ表現のほうがよさそうです。正しさを優先しないほうがいい場合もあると感じました。