こんなエッセイを書いてみたい

エッセイを読んだあと、いろいろな感想をもちます。
おもしろい話だ、すごい体験だな、胸にじーんと迫ってくる、書き方がうまい、などなど。
最近、「ああ、このエッセイ、いいなあ。私もこんなふうに書けたらいいな」と思えるエッセイに出合いました。しかも、3作品続けてです。

どこがいいと感じたのか、3つの作品の共通点を考えてみました。
まず、取り上げた題材がしっかり書き込まれていて、おもしろく(興味深く)読める。これは大前提です。
そして、その題材が書き手自身の人生にどうつながるか、どう重なるかというところまで考えを掘り下げていました。そのプラスの要素が作品を深くして、「いい」エッセイと感じさせているようでした。とはいえ、難しいことが述べられているわけではありません。

3つの作品に、どのようなプラスの要素があったか、具体的に紹介します。
エッセイ1)中学時代の友達数人と会ったときの話
中学生のときの思い出話には、楽しいことだけでなく、いじめの話も出てきて、それだけでもいろいろと考えさせられる内容だった。
プラスの要素:思春期をうまく乗り越えられず、もがいていた頃に思いを馳せ、その後、自分で道を切り開いて大人になっていくのだと、今の自分に結び付けている。
エッセイ2)現在の世界情勢により国際郵便が送れず、海外に住む娘になかなか物を送れなかった話
国際郵便のことだけでも、情報としてとても興味深い。
プラスの要素:娘との向き合い方、ひいては自分の生き方にも触れている。
エッセイ3)若いころ好きだった長編物語についての話
その物語にまつわるエピソードだけでも読みごたえがある。
プラスの要素:人生もまた長編のストーリーであるとして、変化しつつある自分を重ね合わせる。

すべてのエッセイに、こうしたプラスの要素が必要とは思いません。アハハと笑える軽妙なエッセイも楽しいですし、知らない場所に連れて行ってくれる紀行エッセイも魅力的です。けれども、時々は、自分の人生に触れるような深みのある作品を仕上げてみたい。この3作品が、私を刺激してくれました。