合評の方法を模索中 (「新しいエッセイ教室にて」その後)

2022年2月の「今月の話題」に、「新しいエッセイ教室にて」というタイトルで、新設されたエッセイ教室の合評方法について書きました。
新教室が発足したばかりの頃は、合評で意見を言う人が限られ、もしくは意見がなかなか出ないこともあった。しかし、試しに全員に順番に発言してもらったところ、いい意見や感想がたくさん出てきた。すべての作品に対し全員が発言するとなると時間がかかるが、しばらくこの方法を続けることにした。
という内容です。

この「全員が発言する」という合評方法を1年ほど続けました。
すべての作品に対して感想や意見を述べるということは、実はけっこう大変です。あらかじめ作品を読み込む必要がありますし、あまり共感しない作品についても何か言わなくてはなりません。
心配は無用でした。回を重ねるごとに、合評の内容は深くなっていきました。この表現が好きです、この書き方がいい、自分の心に響いたのはここ、などの発言だけでなく、なぜ響いたかの分析もするようになりました。これはきっとエッセイを書く力にも大いに作用しているはずです。参加者も楽しそうで、仲間意識も感じられるようになりました。

しかし、懸念していたとおり、合評に時間がかかります。予定の2時間では終わりません。ある時、30分ほど延長して、ついに、スクール側から、次の講座の準備に支障があるので延長は控えてほしいと言われてしまいました。さすがに、合評の方法を変えなくてはなりません。

ちなみに、全員が発言しなくとも、合評する作品数が多ければやはり時間がかかるので、「講座時間内に終える」ために、エッセイ仲間が受け持つ教室でもさまざまな工夫をしています。
・作品の枚数上限を400字5枚から4枚にして、短い作品にした
・2時間で10作品を合評する場合は1作品10分がリミットなので、10分たったらチャイムを鳴らして、次に進む
・作品数が多いので、合評は半分だけに留める
など、その教室に合った方法を探しています。

さて、この教室での延長の理由は、すべての人に意見を述べてもらうことですので、それを止めることにしました。意見のある人には手を挙げてもらい、1作品に対して3名ほどの発言に抑える方法に変えました。無事に2時間で終わり、次回からもこれで行こうと思っていたところ、その次の回の冒頭に、参加者からこのような発言がありました。
「実は、前回の合評方法についてみんなで話し合ったのですが、やっぱり全員の意見を聞きたいねということになりました。みんながどんなふうにエッセイを読んでくれたか、全員から聞きたいし、それが勉強にもなると思うんです」
それだけでなく、1人30秒という持ち時間で意見を述べたら、なんとか延長せずにすむのではないかと、解決策まで考えてくれていたのです。
そこまでみんなで自発的に考えていたとは。教室のまとまりにも積極性にも感激しました。
キッチンタイマーまで用意してあり、さっそく試してみることになりました。

30秒は目安で、それを少し過ぎてもいいことにしましたが、タイマーがけたたましく鳴ると、発言者はドキッとして言葉に詰まってしまいます。これは慣れれば、きっと大丈夫でしょう。
この30秒作戦では、「えーと」とか「あのー」などと言っている暇がありません。発言中に意外と無駄にしている時間が多かったことに気づかされました。あらかじめ意見をまとめておけば、それまで1分かけて話していたことが30秒でも話せそうです。
しばらく、この方法を続けてみることになりました。